アレルギー性皮膚炎は身の回りの目に見えない物や、食べ物の中の成分が原因となって起こるアレルギー反応です。
したがって、治療で一番大切なことは、原因物質をみつけ、それを排除することです。
検出された多数の原因物質の中で、とくに食物中のある成分がアレルギー性皮膚炎の主な原因であった場合には、
その成分を含まないフードに代えることによって改善されることがあります。食べ物以外の物、
すなわち環境中の物質が主な原因であったなら、それを身の回りから排除できなければ治すことができません。
飼い主の方に理解していただきたいのは、適当にアレルギー療法食を与えていてもアレルギー性皮膚炎は治らないと言う事。しっかりと検査をして原因物質を調べ、検出された成分を含まないフードを選び与えなければなりません。治療はここから始まります。それでも治らなければ次の段階の治療に進みます。
アレルギーの検査をすると、その原因がわかります。
その原因には「草木の花粉」「家の中のダニの糞や死骸」「カビの胞子」「食べ物」などがあります。
原因がはっきりわかれば、どうすればよいかがわかります。
原因を避けたり、かゆみを薬で抑えたりして、アレルギーを起こさないようにできます。
節足動物
ヤケヒョウヒダニ・コナヒョウヒダニ・ノミ・蚊・ゴキブリ
樹木
スギ・シラカバ・ハンノキ
カビ
アスペルギルス・アルテリナリア・クラドスポリウム・ペニシリウム
雑草
ヨモギ・オオブタクサ・アキノキリンソウ・タンポポ・フランスギク
牧草
カモガヤ・ハルガヤ・オオアワガエリ・ホソムギ・ギョウギシバ
主要食物アレルゲン
牛肉・豚肉・鶏肉・卵白・卵黄・牛乳・小麦・大豆・トウモロコシ
除去食アレルゲン
羊肉・七面鳥・アヒル・鮭・タラ・ナマズ・シシャモ・ジャガイモ・米
アレルゲン特異的lgE検査
陽 性→強いアレルギー反応が起きていて、症状がいつ出てもおかしくない状態です。
要注意→アレルギー反応が起こり始めました。
陰 性→アレルギー反応は起きていません。
アレルゲン特異的lgE検査では、食物を含む40種類のアレルギーの原因(アレルゲン)を血液で一度に調べることができます。
陽性の値は、非常に強いアレルギー反応を起こる危険性があることを示しています。要注意の値は、アレルギー症状を出してはいない犬でも稀に検出されることがあります。しかし、アレルギー症状を出しやすい犬では、アレルギー反応が起きる危険性があります。陰性の値は、アレルギー症状を起こす危険性のない範囲ですので、現在は原因と考える必要はありません。
リンパ球反応検査
陽 性→食物アレルギーを起こす危険性が高いので、食べるのを止めましょう。
要注意→食物アレルギーを起こす危険性が高いので、食べるのを控えましょう。
陰 性→食べても大丈夫です。
陽性の場合は、その食物アレルゲンに対して異常に増殖する細胞(リンパ球)が血液中に存在することを示しています。要注意の場合も、細胞の増殖があることを示しています。正常犬で稀に要注意の範囲に入ることがあります。陽性、要注意と出た食物アレルゲンは食物アレルギーの原因と考えられ、食べない方が良いことになります。陰性の食物アレルゲンは、反応するリンパ球が血液中に存在しないので、食べての良いことになります。
アレルギー強度検査
陽 性→アレルギー反応が活発です。
陰 性→アレルギー反応が弱い、またはアレルギー反応は起きていません。
陽性の場合は、アレルギー反応を抑える治療をお薦めいたします。陰性の場合には、強いアレルギー反応は起こっていないことを示します。陰性でも完全にアレルギーを否定するものではありません。弱いアレルギー反応が起こっている場合があります。